書への思い

大学で万葉集を学び、日本人の素朴な心、雄大さ、様々な感性、また今の私たちと何ら変わらぬ想いに驚きを受け、そんな日本の心を大切にしたいと書作品にもしたためてきました。

公募展で大作を書きながら、生活の中での書のあり方に思いがつのり。

茶道華道日舞、大学では民俗学もまなばせてもらい、日本文化に自然とふれ、からだに心に染み込ませていただきました。

今書に向かい、公募展での大作創作や古典の臨書学習の大切さを改めて認識し、その上で暮らしにおける書のあり方を提案したくと、室礼や日本の風土や季節の行事暮らしも勉強しております。

美術館だけの書であってはならないと、師匠の師である近代詩文書を牽引し続けられた金子鷗亭先生の書への想い。私なりにその想いを心に灯しさまざまな人の生きる場所でなにげに書がその安らぎや力を与えてくれればと。

今そのような思いで書に向かわせていただいています。

想いばかりで拙い書にて、日々精進とまた一生学びと励んでまいります。

ご恩ある方々への感謝を忘れず、師のごとく新たな挑戦に励みさらに他の日本の伝統文化と共に、室礼の書、生活の書、アートとしての書、そして書道史の流れにある一員としての自覚を持って、お人の心に宿る書を書ければと今をつとめて参りたいと思います。